乃木坂46ドキュメンタリー『乃木坂の4人』──アイドルは中途半端な存在なのか?

乃木坂46気づいたら片想い』の特典映像に収録されている「乃木坂の4人」(監督:熊坂出)。このドキュメンタリーには衝撃を受けた。オールネタバレです。

内容は西野七瀬松村沙友理伊藤万理華樋口日奈の4人が、『気づいたら片想い』の選抜発表を契機として何を感じて何を考えたかといったパーソナリティに迫るというもの。実に巧みなインタビューや課題を与えることによって、4人の人間性を抉り出していて、これが目を背けたくなるほど生々しくて凄まじい。特にひなちまとまりっかは見ているのが辛かった。

だがこの映像はさらに、冒頭に挿入される「アイドルとは何か」という問いに対する桜井玲香の語りに対応するように、ラストのエチュードを通してこの問いに対する答えを映し出している。このエチュードは映像の主役である4人と女優・梶原ひかりが演じていて、西野七瀬がバンド部のボーカルと女優どちらもやりたいという設定を中心に進む。それぞれ役柄の設定を演じてこそいるが、「女優(梶原ひかり)がアイドル(西野七瀬)の中途半端さや実力のなさを徹底的に責め立てる」というあからさまにメタな構図が浮き彫りになっていて、梶原の演技も相まって、あまりに肉薄したリアリティに観ているこちらも苦しくなってくる。

さらに梶原が「アイドルって大変だねえ」と最後に述べたことに表れているように、このエチュード自体がドキュメンタリーとして撮られているわけで、AKBのドキュメンタリー映画が代表しているように、自らのパーソナリティを全てさらけ出すことが今日のアイドルには求められている。つまりこの「乃木坂の4人」というドキュメンタリー自体が「アイドルとは何か」という問いへの答えになっているのだろう。

また、梶原が入る前のエチュードは乃木坂4人だけでやっており、ここで監督の駄目だしと4人の心情吐露によって4人の積極性のなさとグループ全体のぬるさが明らかになるようなカットを映すことによって、その後の梶原とのエチュードの緊迫感を際立たせていたのだが、これではもはや他の映像特典で収録されているエチュードをあざ笑っているかのようにすら見える。

4人のファンならずとも乃木坂ヲタなら必見でしょう。

気づいたら片想い(DVD付C)

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