Party Rockets 渡邉幸愛卒業ライブ

仙台のアイドルグループ・Party Rocketsのリーダーである渡邉幸愛の卒業ライブが、2013年12月15日、渋谷WWWにて開催された。Party Rocketsは「ロックなロケット」をコンセプトに、往年のハードロックを感じさせる通好みの楽曲をパワフルでキュートなパフォーマンスで魅せる、ライブに定評があるアイドルグループだ。2013年に4人体制となってからは、2013年2月から東京で定期公演を開始し、着実に実力を磨きながら、人気を集めはじめていた。そんな矢先のリーダー渡邉幸愛の卒業だった。

リーダーでありエースだった渡邉幸愛の卒業という衝撃

2013年11月27日、本人のブログで発表された幸愛ちゃんの卒業。パティロケのファンでなくとも、多くのアイドルファンにとって非常に衝撃的なニュースだったと思う。パティロケのライブを見たことがある人は、幸愛ちゃんがグループにとってどれほど大きな存在だったかわかると思う。幸愛ちゃんのどんなときも笑みを絶やさないずば抜けたアイドル性、グループのパフォーマンスを牽引する歌唱力、メンバーをまとめるリーダーシップ、彼女は誰もが納得の実力を備えたエースだった。

そんな幸愛ちゃんが卒業すると聞いて、正直に言ってショックだった。僕はパティロケのオタではないし、今年彼女たちのライブを見た回数は卒業ライブ前の時点で対バンで5回、ワンマンには2012年の渋谷WWWのライブ以来行っていない。それでもパティロケはグループとして好きな部類に入っていたし、対バンのわずかな時間の中でも、高いレベルのパフォーマンスはもちろん、いつ見ても笑顔で、客席1人1人に目を向けたり、手を振ったりしてくれる幸愛ちゃんには惹きつけられるものがあった。だから、あれほど輝いていた幸愛ちゃんが卒業することに少なからずショックを受けた。

幸愛ちゃんが卒業した理由は、本人がブログに書いているように、自分の目標に近づくチャンスを関係者からもらったということで、きっと大きな飛躍のチャンスを掴んでくれるはずだ。そのことは楽しみだし、行く道がわかれば心から応援したいと思う。だけどパティロケの幸愛ちゃんを見ることは、もう二度とできない。そのことがどうしても悲しい。

だからこそ卒業ライブはしっかりと記憶に焼き付けておきたかった。そしてこのライブは紛れも無く、今年一番の記憶に残るようなライブとなった。

僕は2部とも参加したので、このライブが数あるアイドルライブの1つとして流れ去ってしまわないように、ブログに記録として残したい。

第1部 2つのスタートライン

「初恋ロケット」からスタートした第1部は、卒業の寂しさを吹き飛ばすような勢いで進行していった。序盤のMCで幸愛ちゃんから今日で卒業するということについて伝えられる。涙で言葉を詰まらせながら想いを伝えていく幸愛ちゃん。直後に歌われた曲は「スタートライン」。今日のこの日が幸愛ちゃんの進む道のスタートライン、そして3人になるパティロケの進む道のスタートライン。幸愛ちゃんの前向きな卒業にぴったりの「卒業ソング」として第1部・第2部を通して歌われたこの曲は、この日、最も印象的な曲の1つとなった。

アンコール開けのMCでは、1部で最後になる人もいると言いながら涙する幸愛ちゃん。1部が終わってしまうことに気付いた僕たちは、まだ2部があるから大丈夫、と現実逃避のように自分に言い聞かせ、卒業という終わりまでの時間をなんとか引き伸ばそうとしてしまう。そして二度目の「セツナソラ」を歌い、第1部のライブを終えた。

第2部 セツナソラの向こうへ

物販を挟んで第2部、幸愛ちゃんのパティロケとして最後のライブが始まった。
第1部のアンコール前ラストに歌われた曲「RAINBOW!」でスタートした第2部、幸愛ちゃんはほとんどずっと涙を浮かべていて、ライブ中に何度も嗚咽を漏らさないように口を抑える素振りをしていた。

第1部と同様、序盤のMCで幸愛ちゃんから卒業に際しての想いが話される。これまでのパティロケとしての活動の想い出、支えてくれたメンバー・ファン・スタッフ・家族への感謝が伝えられる。そしてそれに続く「スタートライン」、いよいよ卒業が目前に迫っていた。

そのあとに続くアップテンポな曲たちも全てが切なく響く。

アンコールに入り、デビュー曲の「初恋ロケット」のイントロが流れる。4人で歌う最後の「初恋ロケット」を、彼女たちは紫のサイリウムの海の中で感情が溢れるままに歌っていた。

そしてMCでは卒業式として、幸愛ちゃんからメンバーへ、メンバーから幸愛ちゃんへ、1人1人お互いに言葉が伝えられる。その言葉には楽しかったときも、辛かったときも一緒に過ごしてきた彼女たちの、言葉では語り尽くせない想いが込められていて、本当に胸を打たれた。それは演出も台本も何もない、深い関係性を築いていた彼女たちの心からの言葉だったから。

次の曲で終わってしまう、終わりたくない――メンバーだけでなく、会場の誰もがそう思っていただろう。アンコール最後の曲「RAINBOW!」でライブは一旦終了する。

ダブルアンコールがかかり、パティロケ4人で歌う本当に最後となる曲は「セツナソラ」。曲の最後の幸愛ちゃんソロに入るとき、歌えないんじゃないかと思うほどむせび泣く幸愛ちゃんを、メンバーが支えるように肩を抱きかかえる。幸愛ちゃんは涙で詰まらせることなく「セツナソラ」を歌い切り、この日の全てのライブが終了した。

そして幸愛ちゃんはParty Rocketsを卒業した。

幸愛ちゃんのこれから

結成時からパティロケのリーダーとしてグループを引っ張ってきた幸愛ちゃん、その道のりは決して順風満帆とはいえなかった。僕が初めてパティロケを見た2012年のワンマンライブのときは6人のグループだった。その直後に1人辞め、年末には幸愛ちゃんと2人でメインボーカルを務めていた子がまた1人辞めてしまった。3月にパティロケを見たとき、4人になった彼女たちのライブを初めて目にした。メンバーが2人も脱退するという苦境に立っていたのに、幸愛ちゃんはきらきらとした笑顔で輝いて見えた。だけどそんな幸愛ちゃんを見ているとどうしても気丈に、無理に笑顔で振舞っているように見えて仕方なかった。4人になった直後のメンバーのブログを見ると、前向きな言葉が並んでいる。幸愛ちゃんはリーダーとして一層頑張らないといけないといけないと思い、事実、そう努めてきたのだと思う。

それからしばらくして見たパティロケは、ずいぶんと印象が違った。パフォーマンスは6人のときよりもむしろ向上しているように見えたし、メンバー1人1人の個性が目立つようになっていた。きっと彼女たちは本当に頑張ってきたのだと思う。そして幸愛ちゃんがリーダーとしての強い責任感を持っていたからこそ、苦境を乗り越えて前に進むことができたのだと思う。

並外れた利他性、目標を実現するためのたゆまぬ努力、決して折れない強い意志。幸愛ちゃんはそれらを備えた一流のアイドルだった。そんな幸愛ちゃんだから、きっとどこに行っても成功すると思う。だから幸愛ちゃんの動向については楽しみでもある。

このライブでメンバーが繰り返しお願いしていたことでもあるが、幸愛ちゃんとパティロケはどちらも見続けていきたいと思う。このライブを観てから、心が持っていかれたような喪失感を感じているし、幸愛ちゃんとメンバーの想いのこもった言葉を聞いてから、これからの彼女たちの姿を見ていかないわけにはいかないだろうという気持ちが強い。

幸愛ちゃんもパティロケも、これからどうなるかはまだわからない。それでも僕は新しい道のスタートラインを出発した彼女たちがどこに向かうのか、見届けていきたいと思う。

このライブのUSTアーカイブはぜひ観てほしい。第2部のダブルアンコール以外は全部観ることができる。
Party Rockets定期ライブvol.13 第1部
Party Rockets定期ライブvol.13 第2部

幸愛ちゃん最後のブログ
(`>ω<´)2013.12.15卒業。

幸愛ちゃん卒業発表のブログ
大切なお知らせです。渡邉幸愛


Party Rockets定期ライブvol.13(渡邉幸愛卒業ライブ)のこと - 細々と、こっそりと、ちまちまと
セットリストはこちらの記事から拝借しました。
幸愛ちゃん推しの方の愛を感じる記事です。

Party Rockets定期ライブ vol.13

2013年12月15日 渋谷WWW

セットリスト
第1部
1 初恋ロケット
2 好きすぎて生きるのがツラいよ
3 日常ドリーマー
(MC)自己紹介
4 輝くあなたが好きだけど
5 ママには言えない
6 MIRAIE
7 REVOLUTION
(MC)卒業のこと
8 スタートライン
9 夢見る少女じゃいられない(相川七瀬カバー)
10 トライアングルスクエア
11 Life goes on
(MC)
12 ROCKIN' HORSE BALLERINA
13 Shy Shy Love
14 セツナソラ
15 弾丸ハイジャンプ
16 RAINBOW!
アンコール
(MC)
17 セツナソラ

第2部
1 RAINBOW!
2 好きすぎて生きるのがツラいよ
3 日常ドリーマー
(MC)自己紹介
4 ママには言えない
5 輝くあなたが好きだけど
6 MIRAIE
7 ディアフレンド
(MC) 卒業のこと
8 スタートライン
9 瞬間センチメンタル(SCANDALカバー)
10 トライアングルスクエア
11 Life goes on
(MC)
12 絶対♡LOVE
13 ROCKIN’ HORSE BALLERINA
14 Shy Shy Love
15 弾丸ハイジャンプ
16 セツナソラ
アンコール
17 初恋ロケット
(MC) 卒業式
18 RAINBOW!
ダブルアンコール
19 セツナソラ