2013年アイドル楽曲大賞/2013年ベストアイドルソング

第2回アイドル楽曲大賞2013
昨年に引き続き今年も投票。
楽曲とそのアイドルの文脈を考慮して判断。
しかしそうは言っても結局は思い入れに負けてます。

メジャー部門

1.ASIAN STONE/Dorothy Little Happy


しなやかでいて、凛とした強さ。すなわち優雅。ライブ映像を観ると、ドロシーはこれほどまでに優雅にパフォーマンスするグループだったかと驚く。曲、歌詞、ダンス、ボーカル、その全てがぴったりと重なり合ったときに表出する、アイドル・ポップの最も幸福なかたちがこの曲にはある。
ドロシーの曲を選ぶ際に「永遠になれ」と迷った。もう元に戻すことのできない想い出を、スノードームのように永遠として残すことを歌う少し悲しくて切ない「永遠になれ」。この曲を歌うドロシーは、儚げで可憐だ。それは彼女たちの持つ無二の魅力でもある。だけど「ASIAN STONE」で、彼女たちは次のステージに歩を進めたように思える。「ASIAN STONE」を優雅に舞い歌う彼女たちを見ているとそう思うのだ。だからきっと「ASIAN STONE」は、これからの彼女たちを象徴する曲になるのだと思う。

2.果てしなき旅/ひめキュンフルーツ缶

疾走感溢れるメロコアに、どんな道であってもどこまでも前向きに進んでいくと歌う清々しいまでにポジティブな歌詞が乗ったこの曲は、聴いているだけでハイになれる。メジャーデビューして乗りに乗っているひめキュンに相応しい曲で、ここ1年だと「フリーノート」か「果てしなき旅」かなといった感じでこっちにした。晴天の青空から降り注ぐ希望に満ちた太陽の光を全身に浴びながら恥ずかしげもなく走り出したくなるような曲。

3.My Graduation Toss/さくら学院


さくら学院2012年度卒業式、すなわち生徒会長・中元すず香の卒業ライブのラストを飾ったこの曲は、聴いているだけでちょっと切なくなってくる。楽曲はノリの良いメロディアスなパンクロック。けれどこの楽曲のノリの良さが、かえって卒業の寂しさを際立たせる。MVではメンバーが軽音部に扮し、部室でバンド演奏をするというシーンがにくい。振り付けは中元すず香を中心にして、在校生メンバーが送り出すような構成になっていて、おそらくこの1曲が2012年度のさくら学院をどんな言葉よりも雄弁に語ってくれるだろう。”卒業×バンド”という眩しすぎるほどキラキラした輝きを放つモチーフと、青春の想い出を走り抜けるような疾走感のある楽曲によって、2012年度のさくら学院のフィナーレは最高潮に達する。さくら学院の「卒業」を象徴する珠玉の名曲。

4.MIRAIE/Party Rockets


Party Rocketsはどうしてこうも悲劇的な運命にあるのだろう。この曲のMVに映る元メンバーの金野優花は、CDがリリースされたときには既に卒業してしまっていた。「いまから始めるんだ」「変わらないものなんてない」と歌う「MIRAIE」は、まるでメンバーの卒業の悲しみを乗り越えて未来へ飛び立とうと足掻いているかのようにすら聞こえ、ライブで見たときはどうしようもなくやるせない気持ちになってしまった。特にメインボーカルの幸愛ちゃんが健気な笑顔で歌い上げる様子を見ると。
そして先日、その幸愛ちゃんが卒業を発表した。さらなるステップアップのための卒業とのことなので喜ばしいことではあるが、やはり悲しい。ショックだ。
ちなみにMr.Bigエリック・マーティンによる書きおろしというこの曲。もっともそれはほとんど気にかけたことはないのだが、曲自体文句なしにカッコイイ。

5.君の名は希望乃木坂46


今年、乃木坂にハマってから一番好きな曲。叙情的なメロディに文学的な歌詞が良い。MVのオーディション風景の演劇シーンからシームレスにミュージックビデオに入っていく構成は秀逸。

インディーズ部門

1.碧の世界/nanoCUNE

冷たく無機的な碧を連想するイントロは、しかし神秘的ですらあり、人ならざる世界(=電子の世界)への誘いか。一転してサビのエモーショナルなメロディからは、ボーカロイド的と評されることのある彼女たちのイメージにあえて寄り添えば、あたかも感情の芽生えたアンドロイドという古典的モチーフを再現しているかのように見える。

2.暴虐-PARASITE-/FRUITPOCHETTE

だいたいアイドルの曲に「暴虐」なんて言葉を使うセンスが最高。

3.サーカス&恋愛相談/BELLRING少女ハート

ハイクオリティでアバンギャルドな楽曲と、ほぼ素人の女の子の奇妙で危険な組み合わせが最高。

4.トゥインクル・モンスター/苺☆シアター

中学生3人組のユニット。ルックスはメジャー級に可愛い。デビューシングル『STAR GATE WIZARD』のカップリングのこの曲、振り付けの可愛らしさと相まって素晴らしい。

5.逃げろ!!/ゆるめるモ!

ももクロの「走れ!」のオマージュだかなんとからしいこの曲。「地下アイドルなのに良い曲やってるアイドル」のニューカマー。

アルバム部門

1.天上遊園/nanoCUNE

天上遊園

天上遊園

nanoCUNEを代表するエレクトリックなロックチューンから、ヘビーなベース音がうねるダンサブル・ナンバー「思考錯乱」、キュートなメロディのアイドルソング「ここで育ったSweet」「ラッキーハッピー」などが入ったバラエティに富んだ1枚。1曲目の「碧の世界」で、人ならざる者が住む世界を連想させるような神秘的なイントロで聴く者をnanoCUNEの世界観へと誘い、「ミイラ男とフランケン」、「抹殺ロック」、「嘘つきライアン」のかっこ良すぎるピコピコロックで畳み掛ける構成は秀逸。

2.さくら学院2012年度 ~My Generation~/さくら学院

さくら学院2012年度~My Generation~

さくら学院2012年度~My Generation~

2012年度生徒会長・中元すず香、彼女の代のさくら学院の魅力が詰まった卒業アルバム的な1枚。部活ユニットでは、既にさくら学院から世界へ飛び出しているBABYMETALが放つアイドル・メタル「ヘドバンギャー!!」、クッキング部の愛らしい魅力いっぱいの「ミラクル♪パティフル♪ハンバーガー」、Perfumeさながらの科学部のテクノポップチューン「サイエンスガール ▽ サイレンスボーイ」「デルタ」など良曲揃い。卒業ソングの「My Graduation Toss」と、大切な人への感謝の気持ちを歌う「マシュマロ色の君と」は、中元すず香の芯のある透き通った歌唱が最大限に活きるアップテンポナンバーで、彼女らしく卒業を飾る。

3.疾風迅雷/FRUITPOCHETTE

疾風迅雷-しっぷうじんらい-

疾風迅雷-しっぷうじんらい-

このアルバムはかっこ良すぎる。全曲がメロディアスなメタルチューンで、キャッチーでヘビーでモッシュしたくなるような良曲揃い。全曲のタイトルが「暴虐 -PARASITE-」「少女的 -DECISION-」のように漢字+英単語の組み合わせになっていて、その厨二感溢れる感じはもはやネタだが、それがむしろ彼女たちのちょっと痛い雰囲気とマッチしている。愛媛のロック畑が生んだアイドル・メタルの傑作。

推し箱部門

今年のひめキュンを総括するとメジャーデビューしたことに尽きる。何か大きな変化があったわけではないが、やはりメジャー仕様へとなってきているような気がする。コンセプトをはっきりとロックだと言うようになったり、小さいことだと物販で写真を撮ることが禁止になったりなどだ。

1年以上も観ていると不満が出てくるものだが、ひめキュンに関して要望があるとすれば早く生歌にして欲しいということくらいだ。今やってるツアーで動きが少ない「ネバーエバー」「絶望よ!こんにちは」では生歌になっているので、来年はもっと増えることを期待している。

ひめキュンについては他の記事でも書いてます。
・マッドマガジンレコードのアイドルたち
http://journeytune.hatenablog.com/entry/2013/10/19/220819
ひめキュンフルーツ缶 - 情熱、エモーション。
http://journeytune.hatenablog.com/entry/20131019/1382167230